特に欧州・英国の広告業界では、CGI動画やフェイクOOH(Fake Out-of-Home)が注目を集めています。これらの技術はSNSやデジタル広告の主流となりつつあり、2025年に向けてどのような変化が起こるのか、最新の事例やトレンドを紹介します。
最新キャンペーン事例:Furby×HeydudeのCGI広告
英国では、ファービイ(Furby)とシューズブランドHeydudeがコラボし、「Furbzilla」と名付けられたCGIを活用したキャンペーンが話題を呼んでいます。この広告では、巨大なFurbyがロンドンの街を歩き回り、新作シューズの存在感を際立たせています。
広告を手がけたクリエイティブプロダクション「The Berry」のLuke Robson氏は、「ロンドンを舞台にしたアクション満載の映像とユーモア、アイコニックな製品を融合させた夢のようなプロジェクト」と述べています。CGI技術を駆使し、ロンドンの街並みにリアリティをもたらしつつも遊び心を忘れない映像は、視聴者に強烈なインパクトを与えました。
欧州におけるCGI広告市場の拡大
The Drumによると、パリではこの数年でCGIやフェイクOOHを専門とするエージェンシーが7社も新設されました。この急成長は、Maybellineの巨大マスカラブラシやJacquemusの巨大バッグなどの成功事例に触発されています。これらの広告は、現実と虚構の境界をぼかし、SNSでの拡散を狙う戦略が特徴です。
こうした取り組みは、InstagramやTikTokといったSNS上で話題性を高める目的で活用されています。日常風景に非日常を加えることで、視聴者の好奇心を引きつけます。バーチャル空間と現実の広告が融合する新たな手法として、今後も注目されるでしょう。
日本での盛り上がりに欠ける理由
一方で、日本ではCGIやフェイクOOHの活用がまだ限定的です。その要因として以下が挙げられます。
・市場の保守性:日本の広告業界は伝統的な手法を重視し、新しい形式への挑戦に慎重です
・コストの壁:CGIやフェイクOOHの制作には高度な技術と予算が必要であり、ROIが不透明と見られがちです
・規制の影響:意匠権や広告表現に対する規制が欧州に比べて厳しく、革新的な手法が採用されにくい環境があります
2025年以降の展望
CGI動画やフェイクOOH広告の進化は、2025年以降もさらに加速するでしょう。The DrumがCGIやFOOH広告の著名クリエイターと指摘するように、これらの広告は次のポイントを押さえることで成功する可能性があります。
・大胆なリスクテイク:リアルとファンタジーを絶妙に融合させたアイデアがカギ
・SNSを活用した実験:投稿の拡散力を高めるために、ペイド広告を利用した初期のプロモーション
・視聴者の好奇心を刺激:一見すると現実に見えるような映像で、視聴者を引き込む工夫
CGIやFOOH広告は単なる流行にとどまらず、ブランドの認知度を向上させる有力なツールとして進化し続けています。2025年以降は、さらなるイノベーションが期待されます。これらの新しい広告手法は、消費者の記憶に残るクリエイティブを生み出し、ブランド価値を高めることが可能となるでしょう。今後、日本市場でもこうした技術の可能性が広がることを期待したいものです。