OOH(Out-of-Home/屋外・交通広告)は、今や「ただの看板」ではありません。
2025年の世界の広告賞で評価されたOOHキャンペーンには、環境配慮、AR技術、社会課題の可視化、都市と連動した体験型演出など、革新的なクリエイティブが数多く登場しました。
本ブログでは、各国で高く評価されたOOH広告事例の中から、動画で視覚的に楽しめる事例をご紹介します。
① 「So Many Dicks」|ユーモアで社会課題を突く【米国・e.l.f. Beauty】
ウォール街に出現したデジタルビルボードには、挑発的なメッセージ
“So many Dicks, so few of everyone else.”
企業役員に“Richard(=Dick)”という名の男性が過剰に多い現実を皮肉り、経営層の多様性の欠如に警鐘を鳴らしたキャンペーンです。
SNSでも話題となり、OBIE Awards Buzzworthy部門 金賞を受賞。社会性とインパクトを両立したOOHの好例です。
② 「Phone Break」|スマホをチョコに変えるアイデア【チェコ・KitKat】
スマートフォンがキットカットに置き換わったユニークなビジュアルだけで構成されたこの広告は、文字もロゴもなしで「Have a break」のメッセージを再解釈。
スマホ依存への皮肉としてSNSでも大きな反響を呼び、カンヌライオンズ2025 Outdoor部門 グランプリを受賞しました。
③ 「AR Mural Storefronts」|ARで壁画が動き出す【米国・Verizon】
Art Basel期間中のマイアミに登場したこのプロジェクトは、リアル壁画×ARアニメーションによる体験型OOH。
スマホをかざすと、壁画がARで動き出す仕掛けになっており、実際に店舗を訪れないと体験できない工夫が施されています。65万回以上のAR再生を記録し、地元とのつながりと来店促進の両立に成功しました。
④ 「Subway Takeover」|NY地下鉄をまるごとジャック【米国・Sony × Olivia Rodrigo】
ニューヨークの地下鉄駅を丸ごとジャックし、人気アーティストOlivia Rodrigoのビジュアルと「LinkBuds」イヤフォンのプロモーションを展開。
駅の壁・改札・車両すべてを統一ビジュアルで装飾し、OOHのスケール感を活かした圧倒的没入体験を提供しました。
キャンペーン後、購入意向+18%、広告想起率59%という効果を記録し、OBIE Awards Transit部門 銅賞を受賞。
⑤ 「#ForAllFunKind」|多様性を楽しさに変える立体OOH【カナダ・M&M's】
巨大3DのM&M’sキャラクターが目を引く立体看板。ダイバーシティとインクルージョンをテーマにしつつ、SNS映えするルックスでファンの共感を獲得。
2025年カナダOOHアワードで「Best Creative」「Best High-Impact」W受賞を果たしました。
⑥ 「Double Serum」|通勤導線で最適化されるデジタル広告【カナダ・Clarins】
トロントのUnion StationやYonge-Dundas Squareで展開されたこの広告は、リアルタイムでクリエイティブを切り替えるデータ活用型OOH。通勤者の行動や時間帯に合わせたメッセージ最適化が評価され、「Best Data-Focused Campaign」賞を受賞。
“広告のパーソナライズ”がOOHでも可能であることを証明した事例です。
⑦ 「Nature Shapes Britannia」|木を切らずに看板をつくる【インド・Britannia × Talented】
インドの複数都市で展開されたこのキャンペーンでは、樹木を伐採せず、木の形に沿って歪ませた看板を設置。広告面にはサーキュラーエコノミーやプラスチックニュートラルなど、ESGへの取り組みが視覚的に訴えられています。
素材には100%生分解性コットンを使用し、地元の木々73本に合わせた設計。
「自然を守る新しい屋外メディア」として、業界内外で高い評価を受けました。
OOHは「体験をつくるメディア」へ
OOH広告は、単なる掲出物ではなく、社会に問いかけ、人々を巻き込み、リアルとデジタルを融合させる「体験の場」へと進化を遂げています。
サステナビリティ、テクノロジー、コミュニティ、そして創造性。
OOHは今後さらに多様な形で進化し続けることでしょう。