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MRCの新OOH計測基準に対する広告業界の反応とアテンション指標の重要性

2024年4月、米国のメディア評価委員会(MRC)が「OOH メジャメントスタンダード Phase1 ー Exclusive of Audience」を発表しました。このスタンダードは、広告業界に大きな波紋を呼び起こしており、日本のマーケターにとっても無視できない内容です。

このブログでは、MRCの新基準に対する反応と、広告業界がアテンション指標にシフトしている現状について、メディアエージェンシー専門家と新人マーケターとの対話を通じて解説します。

登場人物
・田中さん(新人マーケター)
・山田さん(メディアエージェンシーの専門家)

田中: 最近、米国のMRCが発表したOOH計測スタンダードが話題になっていますね。それについて少し教えてもらえませんか?

山田: もちろんです。422日にMRCOOHメディア計測ワーキンググループが「OOH メジャメントスタンダード Phase1 Exclusive of Audience」を公表しました。ただし、このスタンダードには多くの問題があり、多くの専門家が反対しています。

田中: 「オーディエンスを除外して」というのはどういうことですか? 2024年にもなって、そんなことがあるなんて信じられません。

山田: その通りです。このスタンダードは過去5年間にわたって開発されてきましたが、実際には標準とは言えないもので、OOH広告やメディアリサーチの「専門家」たちによって構成されたワーキンググループからも強い反対を受けてきました。このスタンダードは、メディア計測の基本的な概念を無視し、20年以上前の計測方法に逆戻りしてしまうものです。

田中: 具体的にはどのような問題があるのでしょうか?

山田: まず、このスタンダードは、WOO2022年に発表した「OOHオーディエンス測定グローバルガイドライン」を無視しています。米国の計測機関Geopathも、このガイドラインの策定に参加していましたが、MRCのスタンダードは、オーディエンス計測に基づく視認性を無視し、単にOOH表示領域内にいる人数を計測するだけの古い方法に戻ってしまいます。

田中: それは非常に問題ですね。

山田: その通りです。このスタンダードは、OOH広告が持つ本来の価値を無視し、広告の計測と取引において混乱を招くものです。

田中: それでは、MRCはなぜこのようなスタンダードをPhase1 として公表したのでしょうか?

山田: いくつかの理由が考えられますが、売り手にとっては単にOOH表示領域内にいる人数を計測した方が、視認調整した計測よりも大きな数字が有利に働くからです。しかし、広告主やメディアバイヤーにとっては、これが大きな問題となります。

田中: 広告業界はインプレッションの増大よりもがアテンション指標に向かっていると聞いたこともありますが?

山田: そうですね。近年、広告業界全体がアテンション指標にシフトしています。アテンション指標は、実際に広告がどれだけ注目されたかを測定するもので、広告の効果をより正確に評価するための重要な手段とされています。OOH広告も、従来から視認調整済みコンタクト(VAC)を使用することで、広告の実際の露出を測定しています。

田中: それは確かに重要ですね。視認調整済みコンタクト(VAC)を無視することは、アテンション指標の重要性を無視することにもなりますね。

山田: その通りです。広告業界がアテンション指標に向かっている中で、MRCの新しいスタンダードは時代に逆行しています。MRCの新しいスタンダードは、広告が実際にどれだけの人々に視認されたかを無視し、単に表示された回数を計測するだけです。これでは、広告の本当の価値を評価することはできません。広告主やメディアバイヤーは、正確な視認データに基づいて広告の効果を測定することが求められます。

田中: 米国内外の専門家からも反論が出ていると聞きましたが、具体的にはどのような声が上がっていますか?

山田: そうですね。まず、米国のメディアリサーチ業界のベテランであるトニー氏は、この新しいスタンダードがOOHの計測方法を20年以上も逆戻りさせると批判しています。また、Geopath元代表のキム氏も、MRCの新スタンダードが導入されるとOOHの広告効果が低下すると警鐘を鳴らしています。
英国Route の戦略責任者であるユアン氏も、MRCの新スタンダードがOOH業界の計測精度を損なうと強く反対しています。彼は、視認調整済みコンタクト(VAC)の指標を無視し、基本的な表示機会(OTS)に戻ることが、OOH広告効果の評価を難しくすると指摘しています。

田中: ありがとうございました。非常に勉強になりました。今後のOOH広告の計測方法に関して、しっかりと注目していきたいと思います。

山田: どういたしまして。これからも新しい情報があれば共有しますね。

まとめ
広告業界がアテンション指標に向かっている中で、この新基準は時代に逆行しているとの批判が相次いでいます。日本のマーケターもこの動向に注目し、この問題に対する理解を深め、適切な対応をしていくことが重要です。

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