OOH(交通広告・屋外広告)の価値を測るうえで、「広告が見られたかどうか」は基本かつ本質的な問いです。
しかし今、広告業界で重視されはじめているのは、“ただ視線が向いたか”ではなく、“意識が向けられたか”。
これまで主に使われてきた「visibility rate(視認率)」に加え、より深い関与を示す「attention rate(注目率)」という指標が、OOH広告にも求められつつあります。
本ブログでは、両者の違いを明確にし、これからのOOH広告に必要な「評価軸のアップデート」について考察します。
visibility rateとは?──「視線が向いたか」を捉える指標
visibility rateとは、広告が「視界に入り」「一瞬でも見られたか(Eyes-on)」を推計する指標です。
これは通行人が広告の前を通ったうち、実際に視線を向けた人の割合を示します。
イギリスの【Route】やアメリカの【Geopath】では、アイトラッキングの調査データをもとに、媒体ごとの視認率を科学的に算出しています。
ただし、この段階では“見えた”だけ。
意識が広告内容に向いているかどうかまでは含まれません。
attention rateとは?──「意識が向いたか」を捉える指標
attention rateは、視線が広告に“向けられた”だけでなく、その内容に意識を向け、認識・処理されたかどうかを捉える指標です。
たとえば以下のような行動が含まれます:
- 視線が数秒間広告に留まった
- メッセージを読もうとした
- 記憶や認知に残る処理をした
このように、attention rateは「ただ見る」から「意識を向ける」へと進んだ行動を可視化する指標であり、アイトラッキングやサリエンシーモデルなどを使って推計されます。
視線と意識の“違い”を図で理解する
以下の図は、OOH広告への関与をピラミッド型で表したものです。
このように、visibility rateは「見たかどうか」を測るのに対し、attention rateは「意識したかどうか」を測るという、行動深度の違いがあります。
なぜ今、「attention rate」が重視されているのか?
デジタル広告ではすでに、「インプレッション」だけでは広告効果を語れないというのが常識になりつつあります。
実際にブランドリフトや購買意欲と高い相関を持つのは、「どれだけ広告に意識が向けられたか(attention)」という指標であることが、各種の調査から明らかになってきました。
この流れは、OOH広告にも波及しはじめています。
単に“見える場所”にあるだけでなく、
“見られ、意識されるクリエイティブ”かどうかを測ることが、OOH広告の真の価値を証明する鍵となるのです。
まとめ:OOH広告の評価も、「見えたか」から「意識されたか」へ
- visibility rate は「視線が一瞬でも向けられたか」
- attention rate は「広告に意識が向けられたか」
これからのOOH広告に求められるのは、“存在するだけ”の広告ではなく、“心を動かす”広告かどうか。
その価値を正しく示すためには、視認にとどまらず、「注目」=意識の深さを測る視点が必要です。
attention指標への理解と活用が、OOH広告の未来をさらに切り拓いていくはずです。