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アテンション指標の時代:ビューアブルインプレッションの終焉とその未来

広告業界は常に進化しています。最近、特に注目されているのが「アテンション指標」です。これにより、従来のビューアブルインプレッションに代わる新たな広告効果測定の方法が模索されています。今回は、メディアエージェンシーの専門家と新人マーケターとの対話を通じて、このアテンション指標の意義と将来について探ります。

登場人物
・田中さん(新人マーケター)
・山田さん(メディアエージェンシーの専門家)

田中:最近、米国のARFAdvertising Research Foundation)が議論しているアテンション指標について耳にしました。具体的にはどのような内容なのでしょうか?

山田:そうですね。ARFの昨年の「Attention 2023」サミットでいくつかの重要なポイントが話されました。例えば「アテンションはメディアカレンシーになり得る」。つまり、アテンションを、広告価値を測るための新たな基準として捉えることができるということです。

田中:アテンション指標がどのようにマーケティングに応用されるのかも興味深いですね。

山田:確かに。マーケターにとって重要なのは、アテンション指標を使ってキャンペーンの効果を正しく評価できるかどうかです。例えば、広告が実際にどれだけの人の目や耳に届いたのか、そしてその広告がどの程度の注意を引いたのかを測定することが求められます。

田中:「目や耳に届く」という表現は具体的にはどのようなことを指すのでしょうか?

山田:これは、テクノロジーを使って、視聴者が実際に画面を見ているか、音声を聞いているかを測定する方法を指します。つまり「eyes/ears-on」技術です。これは従来の「viewable impressions」(視認可能なインプレッション)よりもはるかに精密な指標です。

田中:今年の4月にARFが開催した「Attention 2024」イベントについても教えてください。

山田: Attention 2024」では、ARFのアテンション計測検証イニシアティブの第2フェーズの成果が発表されました。このフェーズでは、12社の異なるアプローチを分析し、60の広告クリエイティブの影響を調査しました。その結果、アテンション指標が広告の効果を理解するための重要なゲートウェイであることが確認されました。

田中:つまり、アテンション指標は今後の広告計測の重要な要素になるということですね。

山田:そうです。アテンション指標を通じて、広告の効果をより正確に評価し、ターゲットオーディエンスとの関連性を高めることができるようになります。これにより、広告主はより高い広告費用対効果を得ることが期待されます。

田中: 先ほどお話にあった「アテンションがカレンシー」になると、「ビューアブルインプレッション」は役目を終えることになるのでしょうか?

山田: ビューアブルインプレッションとは、広告が視認可能な状態にあるかどうかを測定する指標です。しかし、これは広告が実際に視聴者の注意を引いているかどうかを必ずしも示しているわけではありません。そのため、ビューアブルインプレッションは広告の価値を正確に反映しないと批判されています。

田中: 具体的にはどういう問題があるのでしょうか?

山田: 例えば、ビューアブルインプレッションは広告がページの上部に表示されているか、画面に少なくとも50%が表示されているかを基準にしています。しかし、実際には視聴者がその広告を見ているかどうかは分かりません。視聴者が広告を見ていなくても、ビューアブルインプレッションとしてカウントされることがあるのです。

田中: なるほど、それでは実際の効果を測るのには不十分ということですね。

山田: そうです。そのため、アテンション指標の導入が求められています。アテンション指標は、視聴者が広告にどれだけの注意を払っているかを測定します。これにより、広告が本当に効果を持つかどうかをより正確に評価できるようになります。

田中: OOH広告の業界でも同じような動きがあるのでしょうか?

山田: はい、あります。OOH広告はグローバルでは従来から視聴者のアイトラッキングから視認調整済みコンタクト(VAC)を測定しており、その先の広告効果・アテンションについても、どの程度の時間、どの部分に注意を払っていたかを測定する研究をしています。

田中: それは非常に興味深いですね。広告の効果測定はどのように進化するのでしょうか?

山田: インプレッションからアテンションへと指標が変わり、広告の効果測定はより精緻になります。これにより、広告主は実際に視聴者の注意を引いた広告に対して正当に評価されるようになります。また、広告の配置やクリエイティブの工夫により、ROIを最大化するための戦略がより明確になります。

田中: 最後に、今後の広告業界におけるアテンション指標の展望について教えてください。

山田: アテンション指標は今後ますます重要性を増すでしょう。ARFの「Attention Measurement Validation Initiative」などを通じて、業界全体でアテンション指標の標準化が進むと予想されます。また、技術の進歩により、広告の効果測定が飛躍的に進化し、結果として、広告主はより高い精度で効果的な広告キャンペーンを展開できるようになるでしょう。

このように、ビューアブルインプレッションからアテンション指標への移行は、広告業界全体の効果測定の進化を意味しています。これにより、広告主はより正確なデータを基に、戦略的な広告運用を行うことができるようになるでしょう。

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