電通「2022年 日本の広告費」媒体別広告費の交通広告と屋外広告を合算した2022年のOOH(Out of home)広告費では、前年2021年比102%、コロナ前2019年比では79%となります。また、電通グループのCARTA HOLDINGS「デジタルサイネージ広告市場調査」による交通と屋外のデジタルOOH(DOOH)では前年比113%、2019年比80%となります。
回復傾向がみられる日本のOOH広告を米国と比較してみます。
Out of Home Advertising Association of America(OAAA)によると、2022年の米国広告市場でOOHは最も成長したメディアとなりました。※ 人々の旅行や通勤の移動が戻るにつれて、OOH広告の支出は予想よりも早く回復し、2022年の米国OOH広告費は86億ドルに達し、2019年のコロナ前を上回りました。また、DOOHはOOH広告費全体の30%近くを占めるようです。
※見通しから実績に訂正(2023/3/30)
日本がコロナ前の80%程度の水準で、DOOHの割合が全体の11%程度とその差が大きいことがわかります。
米国のOOH広告費は2023年以降は一桁の伸長に縮小する見通しですが、DOOHは引き続き高成長の見通しで2026年にはDOOHがOOH全体の40%を占めると予測されているようです。
米国のOOH広告費は2023年以降は一桁の伸長に縮小する見通しですが、DOOHは引き続き高成長の見通しで2026年にはDOOHがOOH全体の40%を占めると予測されているようです。
なお、2022年のOOHへ出稿した広告主トップ10企業は、Apple、McDonald's、Samsung、Amazon、Panera、Google、American Express、T-Mobile、Disney、Coca-Cola、Universal Pictures でした。
日本における交通広告の2022年出稿企業トップ10※は、サントリーホールディングス、ブシロード、マイナビ、東京都、DONUTS、ミュゼプラチナム、フジテレビジョン、TBCグループ、リクルートホールディングス、湘南美容クリニック ですので、OOH広告の出稿企業トップの業種もかなり異なっているみたいです。
※出所:「MRS交通広告データ集計システム」首都圏の鉄道会社7社の主要交通広告を集計
また、米国OOH広告費支出の2022年第2四半期は73%をビルボード(屋外)が占めていますが、OOH広告費が交通機関に流れているため、ビルボードのシェアは減少傾向にあります。
DOOH向けAIオーディエンス広告プラットフォームのALFI,Inc.によると、エンターテインメント、政府機関、小売業の3つのカテゴリーがDOOH広告の成長を促進すると予想しています。これらの業界は、技術革新により改善される測定ツール、テクノロジーを活用する上で有利な立場にあるようです。自動車業界と旅行業界は、OOH広告を目にする機会が多いものの、他カテゴリーに比べ、増加幅は小さくなると予想されています。
DOOHのマーケットプレイスであるVIOOHによると、米国の代理店や広告会社の幹部の約47%がDOOHは革新的な広告を開発していると考えており、プログラマティックDOOHは41%が革新的だと考えています。VIOOHは、プログラマティックDOOHが2024年末までに2022年の2倍以上の売上になると予測しています。
一方で、オピニオン分析プラットフォームのCivicScience調査では、最も注意を払う広告としてテレビ25%、オンライン広告24%に対して、OOH広告はわずか6%となっています。プログラマティックOOHが定着するにつれ、DOOH広告は消費者の注目を効率的に集めるかもしれませんが、テレビ、インターネット、ソーシャルメディアの広告と競合するまでの効果は難しいようです。
しかしながら、Out of Home Advertising Association of America(OAAA)とMorning Consultが2022年11月に1,461人の成人を対象に行なった調査によると、成人の10人に9人(88%)がOOH広告に気づき、そのうちの80%近くが行動を起こすきっかけになったそうです。
OOH広告に気づく88%の消費者のうち、76%がモバイル端末を使用してOOH広告の情報を知り、オーディエンスの7人に1人がOOH広告の写真を撮ってSNSでシェアしているようです。また、店舗やレストランへの道順を示すOOH広告に気づいた30%のうち、43%が広告を見てから30分以内にその店舗やレストランを訪れ、そのうちの78%が購入に至っているみたいです。
OAAAのCEOであるAnna Bager氏は、Search & Performance Marketing Dailyで以下のように述べています。
DOOH’s massive footprint, it generates higher recall than all other forms of core media (on average recall in the range of 46% - 84%) and delivers great value with highly competitive CPMs.
「DOOHの巨大なフットプリントにより、他のあらゆるメディアよりも高い想起率(平均想起率46%~84%)を実現し、競争力の高いCPMで大きな価値を提供します。」
We’re aiming to drive competition with the biggest digital ad platforms, and some of them frankly want to play in DOOH space –– like The Trade Desk and Google. We embrace that. It’s no surprise that eMarketer projected that programmatic DOOH spend would grow by 100% in 2022.
「私たちは、最大手のデジタル広告プラットフォームとの競争促進を目指していますが、その中には、The Trade DeskやGoogleのように、DOOHスペースでプレーしたいと考えているところもあり、私たちはそれを受け入れています。eMarketerが2022年に、プログラマティックDOOHの広告費用が倍増すると予測したのは当然のことです。」
Programmatic buying and automation will be huge drivers of growth for DOOH in the years to come as they lower the friction and increase transparency for advertisers interested in entering the space.
「プログラマティック購入と自動化は、広告主のこの分野への参入を容易にし、透明性を高めるため、DOOHの今後数年間の成長の大きな原動力となるでしょう。」
大阪メトロアドエラでは、運用型デジタルサイネージ広告であるプログラマティックDOOHの資料を公開していますので、こちらからご覧ください。