現在、OOH業界では、広告掲出時の「推定通行量」だけでなく、掲出した後の「実際の反響」をどう評価するかが最大の関心事となっています。大阪メトロアドエラではAIを用いたアテンション計測に取り組んでいますが、今回のブログでは、カナダで行われた大規模な神経科学調査の事例をご紹介します。
1. 「広告が配信された」から「インパクトが刻まれた」へ
カナダのAllvision社とBrainsights社は、従来の「物理的な接触の可能性」を測る指標の限界を突破するため、大規模な実証調査を行いました 。
この結果、単に「目が広告を捉えた」という物理的反応だけでなく、それがどのように「記憶や感情」へと変換されたかを解明しています 。
2. 投資判断の新基準「Seen/Impact (SI) スコア」
本調査では、神経科学的な裏付けを持つ「Seen/Impact (SI) スコア」という新たな評価軸が提案されています 。これは「視認性(Seen)」と「ピークインパクト(Impact)」の2カテゴリ、合計7指標で構成されます 。
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カテゴリ |
指標名 |
定義・測定方法 |
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Seen (視認性) |
Precise Percentage |
視野に入っていたフレームのうち、実際に注視した割合 |
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Duration |
広告を注視し続けた平均時間 |
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Lookback Count |
一度目を離した後に視線を戻した回数(引き込み力) |
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Impact (インパクト) |
MAX Attention |
注視の質、脳のチューニングの深さ |
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MAX Connection |
感情的接続、ブランドへの好意形成のピーク |
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MAX Encoding |
記憶の符号化、長期記憶への書き込みの強さ |
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MAX Immersion |
メッセージへの深い没入・内部化の度合い |
大阪メトロアドエラがAIで計測している「アテンション:注視と記憶定着」も、まさにこの「Seen」から「Impact」へと至るプロセスを可視化するためのものです。
3. デジタルOOH(DOOH)の驚異的な「記憶定着力」
調査結果は、デジタル大画面広告が持つ「クオリティ・プレミアム」を浮き彫りにしました 。
この優位性は、大画面による「サイズ効果」に加え、デジタルの「動きと明るさ」が環境ノイズを突き抜けて脳にメッセージを刻み込むためのようです 。
4. メディア・マルチプライヤーとしての機能
DOOHは単独の媒体としてだけでなく、メディアエコシステム全体の効果を増幅させる役割も果たします。
この調査は、OOHを単なる認知拡大の媒体ではなく、科学的エビデンスに基づく「パフォーマンス・ドライバー」として再定義する重要な事例となっています。
参考情報:DOOH boosts media channel effectiveness
大阪メトロアドエラとPerion Japan、OOH環境ごとの広告アテンション・記憶定着率を比較する実証実験を実施