本ブログでは、2024年に発表されたPhase 1への批判を振り返りながら、Phase 2が何を変えたのか、そしてOOH広告の評価軸が“アテンション”へと本格的にシフトする背景と意義を解説します。
■なぜ「Phase 2」が必要だったのか?
2024年に発表されたPhase 1では、OOH広告の測定指標が「OTS(Opportunity to See/視認機会)」に限定されており、実際に広告が“見られた”かどうかは評価されていませんでした。
これに対し、米国や英国のOOH業界からは以下のような懸念が寄せられていました。
今回のPhase2では、MRCはこうした批判も受けて「OOH広告のオーディエンス」を明確に定義し直し、ドラフトを公開、パブリックコメントを受け付けています。
■MRCが示す最終ゴール:OOHをクロスメディア評価の中へ
Phase 2の本質は、「OOH広告における接触を、テレビやデジタルと同様に取引可能な“オーディエンス”として定量化し、共通言語化する」ことにあります。
MRCが示す評価の階層構造は以下の通りです
■オーディエンスベースでの指標定義
Phase 2では、以下のようにAudience Impressionsを基準にメディア指標を再定義しています。
LTSやOTSなどを基準に算出された値は補足情報(参考値)として扱うべきとされています。
■OOH広告測定における5つの重要な考慮点
MRCは、OOH広告に特有の測定上の留意点として、次の5点を挙げています。
なお、IAB/MRCが2025年5月に発表したAttention Measurement Guidelines(ドラフト版)では、広告接触を以下のように再構築しています:
OOHもこの“アテンション計測”の流れに組み込まれる形で、MRCはPhase 2を設計しています。
■日本のOOH業界が今、取り組むべきこと
今回のPhase 2は米国の基準であり、まだドラフトではありますが、OOHの信頼性を国際水準で担保し、クロスメディアでの評価を可能にする変革と捉えると、日本のOOH業界にも以下の対応が求められると思います。
「表示された広告」ではなく、「実際に見られた広告」こそが、これからのOOH広告の価値を証明するスタンダードになるのです。