駅ポスター広告を掲出したいが種類や特徴が分からず、掲出を先延ばしにしていませんか。駅ポスター広告は掲出先を正しく選定し、ユーザーニーズに合ったデザインの広告にすることで、非常に効果の高い媒体となります。
本記事では駅ポスター広告の効果はなんとなく把握はしているものの、いま一歩掲出に至らない企業や個人に向けて、その種類や効果などを詳しく解説します。
駅ポスター広告の歴史は諸説ありますが、19世紀の後半に鉄道の普及とともに始まった「駅貼り広告」が起源とされています。
当時、欧州や米国などで鉄道網が急速に発展し駅に多くの人々が集まるようになりました。これがきっかけで駅は広告を人々に見せる場ともなり、自然と広告掲出が盛んになっていきました。
日本においては1920年代(大正9年)以降、鉄道の利用者数が急増したことから、駅貼り広告の需要が高まっていったとされています。
駅ポスターの基本的な特性としては、優れた反復訴求効果があることが挙げられます。駅を利用する人はおおかた時間帯によって決まっています。朝夕はサラリーマンや学生といった利用客が多く、毎日大体決まった時間帯に駅を利用します。
このため、優れた反復訴求効果が期待できるのです。反復訴求効果とは同じ広告を繰り返し見せることで、消費者の脳裏に内容が定着する効果です。このような基本特性があることから、商品やサービス、ブランドの認知といった戦略を行う際に適した媒体です。
駅ポスター広告は非常に視認性が高い媒体です。駅ポスターに掲出できるサイズはどれも大きく、基本サイズはB1(728×1030mm)となります。
またB1よりも大きいB0(1030×1456mm)、B1よりも小さいB2(515×728mm)といったサイズで掲出ができます。
遠くからでも内容が確認できるので、インパクト重視のデザインにすることにより、パッと見で瞬時に内容を覚えてもらえます。
また見せ方も工夫や計算がされており、駅構内の壁や柱に貼ることはもちろん「天井から吊り下げる」「乗り換えの際の動線上に設置する」といったことも行います。つまり目立つ広告を目立つ位置に意図的に設置することも、視認性が高い理由となっているのです。
駅ポスター広告は反復訴求効果の高い媒体です。つまり人の往来があればあるほどその広告効果は期待できます。そのため駅の立地によって駅ポスター広告本来の反復訴求効果は変わってくるのです。
実際に、駅広告の料金は駅によってそれぞれ異なり、駅の乗降数や立地条件などによって決定されます。このため大阪で乗降数の多い大阪メトロ御堂筋線の梅田駅やなんば駅、天王寺駅などは必然的に高くなります。
逆に人の往来が少なく立地条件があまりよくない駅は、広告費が安くなりますが広告効果は低くなります。
駅ポスター広告が人気の理由は、非常に多くの人の目に触れさせられることが挙げられます。性別や年齢を問わず、とにかく多くの人に情報を伝達したい場合などは非常に適した媒体です。
そして、繰り返し同じ広告を見せることができるのも人気の理由の一つです。駅は毎日同じ人が利用することも多く、ザイオンス効果を利用した広告戦略に適しています。
ザイオンス効果とは、繰り返し接触することで高感度が次第に高まる心理効果のことです。このザイオンス効果に加えて駅での広告は嫌悪感を抱かれづらいという特性から、高い相乗効果も期待できるのです。
実際に駅での広告は嫌悪感を抱かれづらいことが統計として出ており、交通広告の接触者は非接触者に比べてブランド好感度が20%以上高いことが分かっています。
参考:東京都交通局 交通広告とブランド好感度の親和性の高さ
こういったダブルの効果も期待できることから、駅ポスター広告は非常に人気が高いのです。
従来のポスター広告は掲載場所が多く、基本的に狙った箇所に掲出が可能です。そのため、どのような広告戦略にも柔軟に対応できます。大きさも大きいものから小さいものまで自由に選択できます。
一方、デジタルサイネージは大きさや掲出場所が駅によって限定されている場合が多く、広告戦略に柔軟に対応できない場合があります。ですが、デジタルサイネージはLEDを使用する広告のため、視覚的に強い訴求がしやすい特徴もあります。
一方、の通常ポスターでは光による視覚効果はなく、単純に情報を掲載するだけとなります。このように各媒体それぞれ違いがあるため、自社の広告戦略に適した媒体を選択することが重要です。
駅ポスター広告はサイズのバリエーションが非常に豊富です。以下に駅ポスター広告のサイズバリエーション一例について表にまとめました。
駅ポスター広告のサイズバリエーション一例
駅ポスター広告のサイズバリエーション一例 |
|
広告名 |
仕様 |
御堂筋ジャンボ |
B0×8・B0×4(縦短冊)・B1×16 |
駅別ハーフジャンボ |
B0×4・B0×2(縦短冊)・B1×8 |
なんばパノラマビューセット |
Aエリア:B0×16・B0×8(縦短冊) Bエリア:B0×12・B0×6(縦短冊) |
連貼セット・谷九セット |
B0×2・B1×4 |
普通枠B1 |
B1×4・B0×2 |
普通枠B2 |
B2×5 |
なんば駅南コンコース集中貼 |
B1×1 |
天満橋集中貼 |
B2×1 |
駅ポスター広告はターゲット別に最適化が行えます。基本的には7日という短い期間から掲出ができるので複数の駅に期間をずらして掲出し、反応の高い駅に集中的に駅ポスター広告を掲出する方法がおすすめです。
そして反応の高い駅が特定でき次第、そこからさらに反応の高い掲出位置を絞り込むべく様々な箇所に広告を掲出します。
このようにして短い掲出期間であることを逆手に取り、まるでABテストのように比較検証していく方法が効率的です。駅ポスターはこういったターゲット別広告の最適化が行えるのです。
駅ポスター広告は指定枠内であればカスタマイズが可能です。例えば「B0×8」仕様の駅ポスター広告を購入すれば、B0サイズ(1030×1456mm)の広告を8枚つなげて掲出できます。
この枠内に8枚全て違う広告を入れてもいいし、8枚をつなげて1つの絵にすることもできます。また半分半分にして2つの広告を表示させることもできます。駅ポスター広告はこのように、自社の広告戦略に応じて柔軟にカスタマイズが可能なのです。
以下では、駅ポスター広告の効果的な活用方法について解説します。
ターゲットに応じたデザイン戦略とは、ターゲットの特性やニーズを把握したうえでそのデータをもとにして、デザインへ視覚的に反映させる戦略です。ターゲットの特性やニーズを把握せず想像だけで制作デザインをしてしまうと、反響のない広告デザインとなりかねません。
駅ポスター広告を効果的に掲出するためにも、まずはターゲットの分析を詳細に行い情報の収集を行うところからはじめることが肝要です。
駅ポスター広告を掲出するにあたってタイミングは非常に重要な要素となります。自社のサービスや商品を売り込む適切なタイミングで広告を掲出しなければ、効果が低いものとなってしまうからです。
そのため広告の掲出期間等はしっかりと把握しておく必要があります。例えば、商品やサービスを近日中にローンチする旨の広告を掲出しても、実際にローンチに至ったのが数ヶ月後だったら反響は見込めないでしょう。こういったことも考慮したうえで広告を掲出するタイミングを考えます。
メッセージを明確化するということは、ターゲットをしっかりと絞り込むということです。ペルソナを設定しの定義を行い、人物像をしっかりと設定することでメッセージを明確化できます。
つまり裏を返すとターゲットが絞り込めていない状態では、メッセージは明確化できないことになります。
そして明確化したメッセージを元にして視覚的インパクトのある駅ポスター広告をデザインしていきます。こうすることでターゲットにしっかり響く内容の広告が作れます。
自社のブランド認知度が低いことから、駅ポスター広告単品では効果が心もとない場合でも、他メディアと連携したプロモーションを行うことで、相乗効果が生まれることもあります。
例えば、駅ポスター広告の掲出と同時に電車車両のドア横ポスター広告を掲出することで「駅で見かけて電車内でも見かける」といった状態を作り出せます。
またジャック広告を利用すれば、様々なメディアを連携させて空間をジャックできます。このように他メディアを連携させることで相乗効果が期待できるのです。
駅ポスター広告では、地域や季節に合わせた内容にすることも重要です。例えば、冬にアイスクリームや冷たい飲み物の広告を掲出しても反応が薄くなることが予想されます。
また広告掲出駅から離れた場所にある店舗の広告を掲出しても、やはり反応は薄くなることが想定されます。このように、季節や地域に合わせた内容にすることは、広告費を節約するうえでも非常に重要です。
以下では駅ポスター広告の出稿手順について解説します。
駅ポスター広告を掲出することを決定した後、掲載先の選定と事前準備を行います。どこの駅に掲出するのかを検討し、デザインの作成またはデザイン制作会社の選定を行います。
駅ポスター広告のデザインはペルソナによってターゲットを明確化したうえで、そのターゲットに訴求出来るデザインにしていきます。デザインを制作会社に依頼する場合は、実績や自社商品やサービスとの親和性も考慮したうえで慎重に検討していきます。
広告代理店はクライアントと広告スペースを提供する企業の橋渡し的な存在で、仲介やディレクション等を幅広く行ってくれます。完成したデザインを広告代理店に提出し広告掲出までを行ってもらいましょう。
申し込みから掲出までの流れは以下のようになります。
1.お問い合わせ・申込み:当日~1日
2.広告媒体の選定及び掲出時期の決定:2日~数日
3.デザインの審査:約1週間
4.掲出決定:お問い合わせから3週間程度
駅広告ポスターは掲出したらそれで終わりではありません。「反響はあったのか」「広告効果はしっかりと見込めたのか」といったことを検証し、しっかりと費用対効果を評価する必要があります。費用対効果を評価する指標としては以下がありそれぞれ細かく分析することが成功への近道となります。
ROI:投資収益率
ROAS:広告の費用対効果
CPA:顧客獲得単価
CPO:新規顧客獲得単価
などがあります。
以下では駅ポスター広告の成功事例について解説します。
大手企業の成功事例としては「ENEOS Xplora株式会社」の駅ポスター広告の掲出があります。国内外や年代を問わず幅広い層をターゲットとして、主要駅や東京メトロ全線において、駅ポスター広告をはじめ様々な媒体をミックスして広告掲出を行いました。結果、幅広い層へのリーチに成功し企業ブランドやイメージ向上にも貢献しました。
参考:交通広告ナビ ENEOS Xplora株式会社
中小企業の成功事例としては学習塾の運営を行う「株式会社メイツ」の駅ポスター広告掲出があります。
株式会社メイツは生徒募集と学習塾の認知拡大を兼ねて駅ポスター広告を掲出しました。様々な路線に掲出したことから、受験生や保護者の目に止まりやすくなり認知度拡大に成功しました。
参考:交通広告ナビ 株式会社メイツ
地域密着型広告の成功事例としては「昭和薬科大学昭薬祭実行委員会」の駅ポスター広告掲出があります。
周辺住民に向けて大学祭を告知したいという目的から、昭和薬科大学の複数の最寄り駅に駅ポスターを掲出、近隣住民のほかビジネスで訪れる人の集客にも成功しました。
参考:交通広告ナビ 昭和薬科大学昭薬祭実行委員会
公共キャンペーンにおける事例では「多摩児童相談所フォスタリング機関二葉学園」の駅ポスター広告掲出があります。
里親養育専門の支援機関である同施設では里親制度の認知拡大と募集を目的として駅ポスター広告を掲出しました。
味の素スタジアムの最寄り駅に広告を掲出したことをきっかけに、スタジアムを訪れる多くの人々に里親制度を知ってもらえる結果となりました。
参考:交通広告ナビ 多摩児童相談所フォスタリング機関二葉学園
シーズンイベントを利用した事例では「鯖江観光協会」の駅ポスター広告掲出があります。鯖江観光協会では、毎年開催される市内のさばえつつじまつりを告知するべく駅ポスター広告を掲出しました。
新幹線が通る主要駅を選択したことで、イベントに足を運んでもらえるユーザーを増やすことに成功しました。
参考:交通広告ナビ 鯖江観光協会
(https://www.koutsu-navi.com/station/casestudy/station_poster/34073/)
本記事では駅ポスターの種類と特徴について解説しました。駅ポスターには様々なサイズの広告があり、適切な大きさを選択することで、自社の広告戦略に柔軟に対応できます。
ユーザーに応じた広告デザインを採用しタイミングを合わせて広告を掲出すれば、非常に効果の高い媒体となります。