中吊り広告を掲出したいと思ったことはありませんか。毎日電車を利用する多くの乗客に見てもらえるので、効果があることは想像に難くないでしょう。
でも特徴や料金が分からず、メリットもデメリットも分からないのでなんとなく掲出には至らない、という企業や個人も少なくありません。
このような方たちに対して、本記事では中吊り広告の特徴や料金、メリット・デメリットなどを解説します。
以下では中吊り広告について基本や歴史、注意点などを解説します。
中吊り広告とは
中吊り広告の基本
中吊り広告の起源と発展の歴史
中吊り広告の注意点
中吊り広告とは電車車両内部の通路の天井から吊り下げる形で掲載する広告です。通路に対して垂直に掲載するため座席に座っている人からは見えづらくなりますが、立っている人には非常に見えやすい位置となります。
貼るタイプの広告は片面しか表示できませんが、中吊り広告は両面に表示ができるため実質表示面積が2倍となり、効果的に商品やサービスをアピールできます。中吊り広告は電車広告でも定番商品となり、非常に人気の高い広告媒体です。
中吊り広告には基本的な事項があります。それが以下となります。
基本的なサイズが決まっている
基本的な掲出期間は1週間
1車両1枚の掲出
基本的なサイズが決まっている
中吊り広告の基本的なサイズはB3(364mm×515mm)及びB3ワイドサイズ(B3×2枚)(1030mm×364mm×1030mm)となります。B3サイズでも十分な量の情報を掲載できますが、B3ワイドサイズでは幅横が1メートルを超えるため、非常に多くの商品やサービスをアピールできます。
基本的な掲出期間は1週間
中吊り広告は掲出期間が選べますが、基本的な掲出期間は1週間となります。もともと1週間以内の短いスパンで掲出できる媒体だったのですが、広告のデジタル化及び発行部数の減少により、基本1週間での掲出に落ち着きました。
1車両1枚の掲出
中吊り広告は基本的に1車両につき1枚が掲出されます。1車両に固まらず各車両に分散されて掲出されるので、幅広く情報提供ができます。また鉄道会社によっては路線ごとに掲出する広告を分けられるので、ターゲットが明確に定まっている場合は戦略的に広告掲出が可能です。
中吊り広告の詳しい発祥は曖昧で諸説ありますが、電車以外の中吊り広告自体はすでに明治時代の中期には存在していたとされています。
そして電車車両内の中吊り広告発祥においては、多くの書籍などで論じられているのが、阪急グループの創始者である小林一三(こばやしいちぞう)が発案し、阪急電車内に掲出したのが始まりとされている内容です。
加えて当初掲出された広告内容が、宝塚歌劇団だったとされています。宝塚歌劇団の創設が大正3年ということを考慮すると、電車車両における中吊り広告の発祥はそれ以降と考えられるのです。
中吊り広告にはいくつか注意点があります。それが以下となります。
デザイン制作に注意
事前に審査が必要
印刷費が別途かかる
デザイン制作時に注意
中吊り広告は天井から吊り下げる形で広告を掲載します。そのためポスター上部を止めるためのホルダーによって数センチ程度隠れてしまいます。デザイン制作の際はこのホルダーで隠れる部分を考慮し、上部にあたる部分に少しスペースを設ける必要があります。
事前に審査が必要
中吊り広告は掲出する前に事前に鉄道会社の審査が必要になります。各鉄道会社によってそれぞれ審査基準は若干異なりますが、おおむね審査項目は似たり寄ったりと判断できます。
例えば「公共交通機関として適切か」「誇大表現は使用されていないか」「児童及び青少年保護の観点から適切か」といった項目は、どの鉄道会社に掲出するにしても最低限クリアしなくてはならない審査項目です。
印刷費が別途かかる
ポスター印刷費は鉄道会社の広告掲出料金には含まれていません。そのためポスター印刷費は別途必要になります。
以下では中吊り広告の効果的な利用方法について解説します。
広告戦略における中吊り広告の位置づけ
ターゲット層に応じたデザイン戦略
中吊り広告を戦略的に選ぶ
広告デザインを工夫する
広告掲出のタイミングを見計らう
広告戦略において中吊り広告は、電車を利用する人々に直接的かつ集中的にアプローチが可能なOOH広告として位置づけられています。そのため短期間に一人でも多くの消費者に訴求したい場合は効果的な広告媒体です。
さらに、天井から吊るすタイプの広告のため満員電車でも乗客に遮られ難く ることがなく、視認性に優れた特徴もあります。
例えば、インパクトを重視した広告戦略を行う場合、他の広告に加えて中吊り広告を戦略的に選ぶことで1車両をジャックする方法もあります。
ドア横やドア上などの広告枠に加え、中吊り広告も合わせて掲出することにより、立っている乗客の目線の高さに自社広告が半ば強制的に目に入るように仕掛けを行えます。こうすることで、ローンチが差し迫っている商品やサービスの集中的なPRが行えるのです。
中吊り広告はターゲットに応じたデザインを行うことで効率的な訴求が行えます。そしてタイムリーな情報や限定性のある内容の掲載にも適しており、そのような内容を掲載することで、ターゲットに詳細を読んでもらえる可能性が高まります。
例えば、長年中吊り中づり広告を掲出している週刊新潮の広告デザインはが長年中吊り広告を掲出していましたが、目を凝らして内容を注視してしまうようなものとなっています。
こういった媒体の特性を利用し、ターゲット層に応じたデザイン戦略を行うことで、効果的な訴求が行えるのです。
例えば、インパクトを重視した広告戦略を行う場合、他の広告に加えて中吊り広告を戦略的に選ぶことで1車両をジャックする方法もあります。
ドア横やドア上などの広告枠に加え、中吊り広告も合わせて掲出することにより、立っている乗客の目線の高さに自社広告が半ば強制的に目に入るように仕掛けを行えます。こうすることで、ローンチが差し迫っている商品やサービスの集中的なPRが行えるのです。
中吊り広告を効果的に活用するには、広告デザインの工夫も重要です。例えば、言葉を最小限に抑えたインパクト重視のビジュアルにし、キャンペーン情報やクーポンのQRコードを掲載することで、自社Webサイトや特設ページへのスムーズな導線を作ることができます。
さらに、デザインを考える際には、広告が掲出される場所と、接触するユーザーの状況や心理状態を意識することが不可欠です。通勤通学中など、移動の合間に短時間で目に触れるケースが多いため、一瞬で内容が伝わる簡潔さや視認性の高いレイアウトが求められます。
広告デザインを工夫することでも中吊り広告を効果的に活用できます。例えば、言葉少なめでインパクト重視のデザインにして、キャンペーンやクーポンなどのQRコードを掲載することで、自社Webサイトへ誘導することができます。
そのQRコードにパラメータなどを入れ込み むことで、ユーザーの反応アクションがどのくらいあるのかを計測することで できるため、効果測定が行えるようになります。このようなデータは自社のファーストパーティデータとなるため、ユーザー理解を行う上で非常に有効なデータとなるのです。また、QRコードにパラメータを設置することでファーストパーティーデータを取得し、精度の高いマーケティングが可能となります。
中吊り広告を効果的に活用するためには、掲出のタイミングを見極めることも重要な要素です。たとえば、商品やサービスのローンチに対して早すぎる告知や遅すぎる告知はいずれも、ユーザーの関心を逃し、効果が薄れる可能性があります。
一般的な広告戦略では、数ヶ月前から段階的に情報を発信する手法もありますが、それは綿密なプランに基づいた複数施策の一環として行われるものであり、中吊り広告単体で実施するケースは多くありません。
したがって、ターゲットの関心が最も高まるタイミングに合わせて中吊り広告を掲出することが、最大限の効果を引き出す鍵となります。
中吊り広告を掲出するタイミングを見計らうことも効果的に利用するための方法となります。例えば、商品やサービスのローンチに対して早すぎる告知や遅すぎる告知はいずれも効果が薄くなってしまう可能性が高まります。
よく広告戦略として、数ヶ月前から段階的に告知を行う方法もありますが、あくまで緻密な広告戦略を立てた上での話となり、単発で行うことはありません。こういったことから、早すぎず遅すぎず適切なタイミングで広告掲出することが非常に重要です。
以下では中吊り広告の費用と料金体系について解説します。
料金について(Osaka Metroのケース)
地域別と期間別の料金の違い
中吊り広告の料金についてOsaka Metroのケースでは以下のようになっています。
中吊り広告の費用(Osaka Metroのケース)(税抜)※掲出期間全プラン7日
中吊り広告の費用(Osaka Metroのケース)(税抜)※掲出期間全プラン7日 |
||
路線名 |
ポスター納品枚数 |
広告料金 |
全線 |
シングル:1,240枚 |
1,700,000円 |
ワイド:1,240枚 |
3,400,000円 |
|
御堂筋線 |
シングル:430枚 |
1,620,000円 |
ワイド:430枚 |
3,240,000円 |
|
谷町線 |
シングル:300枚 |
500,000円 |
ワイド:300枚 |
1,000,000円 |
|
四つ橋線 |
シングル:160枚 |
300,000円 |
ワイド:160枚 |
600,000円 |
|
中央線 |
シングル:80枚 |
220,000円 |
ワイド:80枚 |
440,000円 |
|
千日前線 |
シングル:80枚 |
240,000円 |
ワイド:80枚 |
480,000円 |
|
堺筋線 |
シングル:190枚 |
300,000円 |
ワイド:190枚 |
600,000円 |
地域別と期間別の中吊り広告料金の違いは以下となります。
地域別と期間別の中吊り広告料金(税抜)※掲出期間全プラン7日 |
|||
電車形態 |
商品名 |
広告納品枚数 |
広告料金 |
普通電車 |
北エリア全車 |
シングル:1,000枚 |
1,070,000円 |
ワイド:1,000枚 |
2,140,000円 |
||
南エリア全車 |
シングル:350枚 |
200,000円 |
|
ワイド:350枚 |
400,000円 |
||
奈良エリア |
シングル:80枚 |
40,000円 |
|
ワイド:80枚 |
80,000円 |
||
快速電車 |
北エリア全車A |
シングル:1,500枚 |
990,000円 |
ワイド:1,500枚 |
1,980,000円 |
||
北エリア全車B |
シングル:1,400枚 |
960,000円 |
|
ワイド:1,400枚 |
1,920,000円 |
||
南エリア全車A |
シングル:900枚 |
600,000円 |
|
ワイド:900枚 |
1,200,000円 |
||
南エリア全車B |
シングル:850枚 |
550,000円 |
|
ワイド:850枚 |
1,100,000円 |
参考:JR西日本コミュニケーションズ JR西日本交通広告料金表メディアガイド 2024年度版
以下では中吊り広告のメリットとデメリットについて解説します。
中吊り広告のメリットは以下となります。
視認性が高い
CTAの効果が期待できる
信頼性を与えられる
新規顧客開拓にも有効
視認性が高い
中吊り広告は天井から吊り下げるタイプの広告媒体であるため、満員電車においても乗客に遮られることがありません。そのため視認性は抜群です。
また天井から吊り下げるタイプの広告ではあるものの、広告の位置は乗客のすぐ頭上に来ますので細かい文字までしっかりと見えます。
そのため、インパクト重視の広告デザインにするよりは、細かい情報まで丁寧に伝えるデザインに適した広告媒体と言えます。
CTAの効果が期待できる
中吊り広告は視認性が高く、細かい文字まで読み取れるため、内容をじっくり読ませるのに適しています。そのため、記載された情報を正確かつ丁寧に伝えることができ、内容をじっくりと読んでもらえる媒体といえます。中吊り広告は視認性が高く細かい文字までしっかりと見えます。つまり記載されている内容をしっかり、かつじっくりと読ませることができます。
そのため、CTAの内容を盛り込むことで、実際に行動を起こしてもらえる可能性が高まるのです。CTAとは「コールトゥアクション=行動喚起」のことでユーザーに特定の行動を促し、実際に行動してもらうことです。
つまり、商品やサービスの魅力やメリットをできるだけ詳細に掲載することで、その場で興味を引き付けることが可能です。
そして実際に購買行動を起こしてもらうように促し、購買にまで結びつけます。文字をしっかり読ませられる中吊り広告は、こういった広告戦略を立てることも可能なのです。
信頼性を与えられる
中吊り広告は公共交通機関に掲出される広告媒体として、消費者に信頼性を与えられます。公共の場に掲出される広告が怪しい広告であるはずがない、という一定の評価を得られるのです。
実際に中吊り広告は、鉄道会社のデザイン審査を受け基準をクリアする必要があるので、審査に通らなければ掲出はできません。
新規顧客開拓にも有効
中吊り広告は、ある程度ターゲット層を絞り込むことができる広告媒体ではありますが、交通広告という特性上マス広告同様に不特定多数の目に触れさせられるのが強みです。
こういったことから、ターゲット層以外の人の目にも多く触れます。1日に何千人、何万人という人の目に触れられることによって、新規顧客開拓の可能性も十分に期待できます。
つまり広告の魅せ方によっては、自社商品やサービスを知らない潜在顧客層及び顕在顧客層をリードに変えることも可能なのです。
中吊り広告のデメリットは以下となります。
効果検証が難しい
広告掲出のタイミング指定が難しい・できない
効果検証が難しい
中吊り広告は交通広告という特性上、マス広告同様に効果検証が難しいというデメリットがあります。どういった属性の人が購入に至ったのか、どのくらいの割合で新規顧客をリードに変えられたのか、といった詳細なデータは取得できません。
そのため、ざっくりと「広告費に対してこれぐらいの利益効果が得られた」程度しか分からないのが実情です。つまりこういった不特定多数に発信する交通広告などに関しては、自社で時間をかけて顧客情報を蓄積していくしか効果的な検証方法がありません ないのです。
広告掲出のタイミング指定が難しい・できない
中吊り広告は各鉄道会社によって作業タイミングは異なります。基本的に広告掲出作業は車両が車庫に入っている時など、乗客が乗車していないタイミングで行われます。
このため、広告主が掲出の時間を指定することができません。また、キャンペーン開始日とぴったり合わせたい場合などに、タイミングのズレが生じる場合があります。
掲出開始日当日に作業を行うこともあれば、前日である場合もあります。こういった事情から、広告掲出のタイミングについては指定ができません。
以下では成功事例から学ぶ中吊り広告の効果について解説します。
成田市商品券事務局ではプレミアム付き商品券の販売促進目的で、中吊り広告を掲出しました。「プレミアム付商品券」「5,000円分を4,000円で販売中!」など、お得感を全面に出したキャッチフレーズで消費者の注目を集めることに成功しました。
必要な情報が中吊り広告1枚に凝縮されており、広告を見てすぐに申し込めるようにしてあるのが特徴です。
参考:交通広告ナビ 成田市商品券事務局
株式会社ジョイフルまるやまでは、自社がプロデュースするウェディングフォトスタジオ「Photo Studio J Heart」の店舗OPENに際し、認知度向上目的で中吊り広告を掲出しました。
「#開放革命」という印象深いキャッチフレーズを使用することで、華やかさを意識した写真撮影が得意という印象を与えることに成功しました。
デザインにはウェディングフォトを実際に使用し「これだけの華やかな写真を撮影できます」というアピールを行っています。
参考:交通広告ナビ 株式会社ジョイフルまるやま「Photo Studio J Heart」
本記事では中吊り広告の特徴や料金、メリット・デメリットについて解説しました。中吊り広告は電車の交通広告として、全国の電車で採用されている定番商品となっています。
非常に効果が高く人気商品である反面、詳細な効果検証が行いづらいというデメリットもあります。このデメリットを解消するべく中吊り広告の掲出を考える際は、合わせて顧客データの収集方法も考えておくことをおすすめします。