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アテンションは広告の新たなカレンシー:広告業界・OOHにおける最新動向と大阪メトロアドエラの取り組み

作成者: 荒井孝文|Oct 28, 2024 12:00:00 AM

広告業界において、視聴者の「アテンション」をどれだけ引きつけられるかが、広告の効果を左右する重要な指標として注目されています。広告が単に表示されるだけではなく、視覚的にどれだけ消費者の注意を引くかを測定するアテンション指標は、広告主にとってキャンペーンの効果を高める鍵です。アテンションは「広告のカレンシー」として、広告がいかに効率的かを示す基準として認識され始めています。本ブログでは、アテンションメジャメントの米国・英国での最新動向、東南アジアへの拡がり、そして大阪メトロアドエラが取り組むOOH広告におけるアテンション調査について解説します。

米国・英国におけるアテンションメジャメントの進化  

アテンションメジャメントは、米国と英国において先進的な取り組みが行われています。アイトラッキングや神経科学的データを用いて、広告が視聴者のアテンションをどれだけ引いているかを測定する技術が急速に発展しています。これにより、広告主は単にインプレッションやリーチに依存するのではなく、広告がどれだけ視覚的に注目され、記憶に残っているかを評価できるようになりました。

Attention is advertising’s currency, let’s agree on its value

米国・英国ではアテンションに対する関心は高まっており、業界全体でアテンション指標の標準化が進んでいます。IAB(Interactive Advertising Bureau)やMRC(Media Rating Council)などの業界団体が、デジタル広告を対象としたアテンションメジャメントのガイドラインを策定しようとしています。しかし、このガイドラインはデジタルメディアを対象としており、OOH広告やクロスメディアに関してはさらなる研究と標準化が求められています。

IABとMRCは2025年Q1にアテンション計測ガイドラインを共同で発行する予定


アジア圏へのアテンションメジャメントの拡がり
 

アジア圏、特に東南アジアでは、アテンションメジャメントの導入が進みつつありますが、依然として普及には課題が残されています。東南アジアの広告市場は成長が著しく、広告主はこの地域での競争力を高めるために、広告のパフォーマンスを正確に評価したいと考えています。

How to Address The Attention Gap in Southeast Asia


UnileverやDiageo、Nestléといったグローバルブランドは、東南アジアでアテンション指標を使用したキャンペーンを展開し、ブランド認知度や購入意欲を大幅に向上させています。これらの企業は、アテンションデータをもとに広告クリエイティブを最適化し、消費者の関心を集める方法を研究しています。

海外のOOH業界におけるアテンションメジャメントの動向  

OOH(アウト・オブ・ホーム)広告業界においても、アテンションメジャメントが徐々に導入され始めています。米国のOOH業界では、billups社が提供する「billups Analytics™ Attention Dashboard」が注目されています。このダッシュボードは、OOH広告の配置場所や環境要因に基づき、視覚的なインパクトを数値化し、広告主が最も効果的な広告クリエイティブを選択できるようサポートするようです。「billups Analytics™ Attention Dashboard」は現在、米国とヨーロッパでベータ版が提供されています。

billups Brings Attention Metrics to Out-of-Home 


大阪メトロアドエラのアテンションメジャメント 取組み 

大阪メトロアドエラでは、株式会社電通、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ等の広告関連企業・団体と連携し、OOH広告におけるアテンションを高めるための科学的調査を実施しています。

ブランド企業がOOH広告で「アテンション」を得るための広告クリエイティブを科学的に調査

2024年6月に発表した調査では、「サリエンシー(目立ち度)」を中心に、広告クリエイティブが視覚的にどれだけ注目を集めるかを分析しました。この調査では、VRアイトラッキングや脳科学、生成AIといった最新技術を活用し、広告が消費者にどのように受け止められ、無意識の反応を引き起こすかを詳細に解析しました。これにより、広告主は視認されるだけでなく、実際に消費者の注意を引きつけ、ブランド認知度を向上させるための具体的なデータを得ることができるようになりました。

VACとアテンションの違い  

グローバルOOH広告業界では、従来からVAC(Visibility Adjusted Contact:視認調整コンタクト)が広告取引指標として使われてきました。VACは、広告が実際に視認可能な人々によってどれだけ見られたかを測定するもので、ビューアブル・インプレッションよりも精度の高いデータを提供します。しかし、VACは「瞬間でも見られたかどうか」を測るに過ぎず、広告が視聴者の「アテンション」をどれだけ引きつけたかを測定することはできません。

一方で、アテンション指標は、広告が視認された後に視聴者がどれだけの注意を払い、記憶に残っているかを測定するものです。アテンションは、広告が視覚的にどれだけのインパクトを与え、視聴者の行動に影響を与えるかを評価するため、より深い洞察を提供します。したがって、VACとアテンションは、広告効果の測定において互いに補完的な役割を果たしますが、アテンションはより消費者心理に焦点を当てた指標となります。

アテンションメジャメントは、広告業界における新たな標準となりつつあります。米国や英国、東南アジアをはじめとする世界中の広告市場で導入が進む中、大阪メトロアドエラでも科学的な調査を通じて、日本市場におけるOOH広告の未来を切り開いていきます。企業がアテンション指標を活用し、広告効果を最大化するための戦略を構築することで、消費者とのエンゲージメントが深まり、より高い成果を上げることができるでしょう。