駅看板広告を出稿してみたいと思ったことはありませんか。一日に多くの人が行き交う駅構内で自社の駅看板広告が掲出されれば、非常に多くの反響が見込まれることは想像にかたくないでしょう。
しかし「駅看板広告の種類や特徴がいまいち分からない」「コスト面が心配」とためらってはいませんか。そのような方たちの疑問を解消するべく、本記事では駅看板広告の種類や特徴、出稿のしかたについて解説します。
駅看板広告とは、駅構内の壁面をはじめ駅のホームやホームドア、自動改札などあらゆるスペースを利用した看板の総称です。駅のコンコースやホームの大型ボードなどに掲出できるため、多くの人の目に留まり高い訴求効果が期待できます。
別名サインボード広告とも呼ばれ、広告戦略ではブランド認知度を高める方法として重要な役割があります。
近年ではデジタルを利用したデジタルサイネージなども活用することができ、昼夜問わず視認性が高くかつ幻想的な広告を掲出することもできます。
駅看板広告はいわゆる交通広告の一種に分類されますが、この交通広告の歴史は非常に古く明治時代初頭と言われています。
1878年(明治11年)に「鎮嘔丹(ちんおうたん)」という乗り物酔いの酔い止め薬が鉄道広告の第一号とされ、鎮嘔丹の広告掲出が許可されたのを皮切りに、中吊り広告や駅貼り広告といった現在では定番の広告が次々と誕生していきました。
そして1914年(大正3年)には東京駅が開業すると、国鉄に加えて私鉄各線が営業を開始し、駅看板広告をはじめ車内広告がさらに盛んになっていったのです。
駅看板広告はターゲットに高い露出が可能なうえ、かつ地域密着型のプロモーションを行えるという特徴があります。
こういった特徴から、駅の周辺で行われるイベントやキャンペーン、地元商店街の催し物など、地域に密着した情報発信に対して高い広告効果が期待できます。
地域の住民はもとより、地域企業や学校へ通勤、通学する人に直接アプローチできるのはもちろん、地域外の人や外国人観光客なども呼び込むことができるのです。
こういった地域密着型の広告は、見た人に親近感を与えるだけでなく信頼性をも高める効果が期待できます。
駅は不特定多数の人が行き交い高い集客力があることから、駅での広告文化も年々進化を遂げてきました。
現在ではデジタルを利用した「デジタルサイネージ」をはじめ、インパクトのある大きな広告を掲載できる「大型ボード広告」、柱に巻き付け柱をそのまま広告媒体にしてしまう「柱巻広告」などがあります。
あらゆるスペースを有効活用し効率的かつ効果的に宣伝を行ってしまおう、という日本独自の広告文化があるのです。
事実、日本の2022年屋外広告OOH(Out Of Home)業界の市場規模は、2824億円でグローバルな広告市場においても拡大傾向にあります。
参考:日経XTREND
(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00935/00004/)
現在においても駅での広告文化はまだまだ進化しています。上述の広告以外にも通常、広告スペースとしては活用しない壁面などに掲載する「SPメディア」、ホームドアの非可動部分にシートを貼り込む「ホームドアシート広告」、自動改札の正面部分にステッカーを貼る「自動改札ステッカー」など多数あります。
駅看板が他の広告媒体と比較して特に優れている点は、インパクトを与えられる広告を掲出できることです。駅看板は駅の大きなスペースを活用して大型の広告を掲出できます。こういった特徴から、ターゲットに対して高い訴求効果が期待できます。
また駅の一部を占有(ジャック)した広告掲出も可能です。例えば駅の一部の空間において、壁にシート広告、柱には柱巻広告、そして一面にデジタルサイネージを施すことにより、幻想的でありながら自社の商品やサービスをしっかり覚えてもらえる広告効果が期待できます。
ただしこちらの掲出方法はSPメディアとなり、従来枠のないところに臨時的に掲出するサービスですので一般のサービスとは異なります。
このように駅看板では、他の広告媒体では演出が不可能なことも実現できるようになるのです。
電照看板とは、電飾装置(照明装置)が利用できる広告枠のことです。広告面の裏側に蛍光灯やLEDなどが設置されており、バックライトで目立たせることができます。
駅に設置される電照看板は内照式看板であることが多く、目立ちやすいといった特徴があります。また情報伝達力も高く、一目で商品やサービスのイメージを伝えられ、伝えたい情報をしっかりと伝えられるメリットもあります。
非電照看板とは、電飾装置(照明装置)を利用しない広告枠のことです。非電照看板には「額面看板」「建植看板」などがあり、おおむね駅での非電照看板は「額面看板」を指します。
額面看板は、主に壁面などに掲出されるタイプの看板広告です。比較的安価なため低コストで広告出稿できますが、電照看板に比べると目立ちにくく周囲の広告に埋もれてしまうデメリットがあります。
駅看板広告の設置場所としては、主に以下が挙げられます。
駅のコンコースや駅構内の通路など、不特定多数の人が行き交う場所に広告を設置することで、より多くの人の目にとまります。
こういったところで同じ広告を見せ続けることにより、無意識のうちにターゲットに広告内容を認知させる効果が期待できます。これを「ザイオンス効果」といい、ターゲットに影響のある広告効果として、広告戦略に取り入れられています。
乗り換え動線を活用することでも高い広告効果が期待できます。乗り換え導線とは電車を乗り換える際に利用する経路やルートのことを言います。
こういった通路上に広告を設置することで、より多くの不特定多数の人に広告を見てもらえます。特に朝や夕方の通勤ラッシュ時や帰宅ラッシュ時は、毎回同じ利用客が通過することも多く、高い広告認知度が期待できます。
乗車、降車するために必ず通過する改札周辺に設置する看板も高い広告効果が期待できます。改札の正面やその周辺の柱、自動改札などに設置される広告は、日常的に駅を利用する利用客への高い広告効果が期待できます。
また、改札付近は窓口やインフォメーションがあり、それらサービスを利用するため人が集まりやすい場所でもあります。そういった人たちへの訴求効果も合わせて期待できるのです。
ホーム上における広告は、電車待ちをする人をはじめ乗車する人、降車する人に対して高い訴求効果を発揮します。ホーム上の設置箇所は主に、ホーム壁面や線路側の対向壁面が挙げられます。
対向壁面に設置された看板広告は電車待ちして並んでいる間は常に目に入るため、非常に高い広告効果が期待できるのです。特に大型ボードは細かい文字を使用せず、インパクトのあるイラストや写真を使用することで、記憶に残る高い視覚効果を生み出せます。
駅の出入り口付近は人が留まりやすい場所です。例えば、観光客や待ち合わせなどで電車を利用しない人に対しても広告の訴求ができます。
また、駅の中にある店舗や施設が目的の利用客に対しても広告効果が期待できます。駅の出入り口付近は、こういった日常的に電車を利用しない人も集まる場所であり、思わぬ新規顧客の獲得に成功できる可能性も秘めているのです。
駅看板広告の掲出にはメリットとデメリットがあり、以下でそれらを解説します。
駅看板広告のメリット
駅看板広告のメリットとしては以下が挙げられます。
高い視認性
ターゲットオーディエンスへの高いアプローチが可能
広告戦略を最大化できる
高い視認性
駅看板広告のメリットの一つと言えば高い視認性が挙げられます。駅構内やホームの広々とした空間を活かし、広告はどれも大きいサイズで掲出されています。
電車内や遠くから見ても表示されている内容が理解できるため、ターゲットのみならず利用客への効果的な訴求が期待できます。
また、駅看板広告は利用客に見てもらいやすい位置に設定されているため、何気なくまわりを見渡すだけで目に入ってきます。こういった設定も合わせて高い視認性の利点と言えるのです。
ターゲットオーディエンスへの高いアプローチが可能
駅看板広告はターゲットオーディエンスへのアプローチ方法も細かく設定できます。例えば、駅看板広告を掲出する駅や路線を絞ることで自社のターゲットとする属性の人にピンポイントでアピールできます。
駅周辺の施設や店舗、利用客などのデータを収集し、どのような人が利用する駅なのかを入念に調査すれば、自ずと利用客の傾向が見えてくるのです。
また駅のホームや乗り換え導線上に広告を設置すれば、朝のラッシュ時や夕方の帰宅ラッシュ時の利用客をターゲットとすることもできます。
こういった時間帯の利用客は毎回同じ利用客であることも多く、特にサラリーマンや学生などに訴求ができます。
更に駅の出入り口付近に広告を設置すれば、新規の顧客開拓につなげられます。このあたりは不特定多数の人が多く、広告を見た人が新たに興味を持ってくれる可能性があるのです。
広告戦略を最大化できる
駅看板広告は広告効果を最大化する戦略を立てることができます。例えば、駅看板広告のプランの一つに「集中展開」というものがあります。
これは一部の空間に自社の広告だけを表示させるというもので、その空間では自社の広告しか表示されない状態を作り出せるのです。
柱には柱巻広告を四方八方配置し、壁一面にシート広告を掲示します。そしてその回りに幻想的なデジタルサイネージを多数あしらえば、オリジナルの自社広告空間が完成します。
いわゆる広告ジャックの状態となり、自社の広告で空間を独占できるのです。こういったことができるのも、駅看板広告戦略ならではのメリットと言えます。
駅看板広告のデメリット
駅看板広告のデメリットとしては以下が挙げられます。
コスト面で差の大小がある
設置期間が長く更新ができない
コスト面で差の大小がある
駅看板広告料金の相場は一律ではなく、高い駅と安い駅があります。そして料金が高いところと安いところでは差額が顕著に出ます。
交通広告料金の相場は乗降人員数に比例して高くなる仕組みのため、必然的にJR東日本が高くなります。つまりローカル線になればなるほど、コストは安価で済みます。
しかしながら、利用客の少ない駅では駅看板広告の効果が薄く、コスト相応の効果しか期待できない点に留意する必要があります。
設置期間が長く更新ができない
駅看板広告は一般的に長期掲出を前提としているため、その間は更新ができません。電照看板も非電照看板もおおむね1ヶ月から3ヶ月程度を目安として掲出期間が設定されており、その間は広告が継続して掲示され続けます。そういった特徴から、短期的な戦略を立案する場合には適さない場合があります。
以下では駅看板広告の出稿手順について解説します。
広告代理店の選び方
駅看板広告を出稿するにはまず広告代理店を選びます。一つ重要なポイントとして挙げられることは「どこに依頼しても同じ」と思わないことです。
駅看板広告で成果をあげるためには、パートナー選びが非常に重要でありどこの広告代理店を選定するかで結果が大きく変わることも十分あり得るのです。そのため以下の重要なポイントをよく精査しておきます。
そのジャンルに精通した知識経験豊富な担当者が在籍するか
費用体系はしっかりと明示されているか
事前にヒヤリングはしっかりしてくれるか
実績・受賞歴はあるか
サービス内容には何が含まれているか
提案や共有はしっかりとしてくれるか
こういったことを事前に確認しておき、自社の広告戦略に必要な広告代理店だと判断できれば依頼を考えます。
設置までのスケジュール
駅看板広告掲出までの期間はおおむね1ヶ月から1ヶ月半ぐらいとなり、スケジュールは以下のようになります。
駅看板広告掲出までのスケジュール
1. 広告代理店の選定
約1週間
2. 駅看板広告の検討と申込み及び契約
3. デザイン制作と審査及び納品
約2~3週間程度
4. 駅看板面の製作
約1~2週間程度
5. 掲出開始
※上記はあくまで目安期間となります。
クリエイティブ制作とは、広告戦略やターゲットに合わせてよりよいコンテンツを創作していくことです。クリエイティブ制作のポイントとしては以下が挙げられます。
1.ターゲットに合わせたメッセージを打ち出す
ターゲットによって打ち出すメッセージは都度異なります。細かくターゲットを設定し、設定に応じたメッセージを考察していきます。
2.商品やサービスとのイメージを統一させる
クリエイティブ制作しているコンテンツと自社の商品やサービスとのイメージを統一させます。例えば、バッグがシックで落ち着いた感じであれば、コンテンツも暗色系のテイストで統一させます。
3.使用する媒体を考慮し最適なものを選択する
最適な見せ方はコンテンツによりそれぞれ異なります。現在クリエイティブ制作しているコンテンツは動画が適しているのか、静止画が適しているのか、といった特徴を理解したうえで最適なものを選択します。
4.文字量は控えめに社会的評価を含める
文字量は控えめにして視覚に訴えるコンテンツにすることで、インパクト重視の広告にします。またその際に、誇大広告や景品表示法違反にならない程度に社会的評価の高い文言を含めると効果的です。(顧客満足度〇〇%!、ベスト〇〇に選ばれました!など)
各鉄道会社の規制を理解する
駅看板広告掲出には各鉄道会社の規制があり、それらを遵守する必要があります。細かい規制は各鉄道会社により若干の違いはあるものの、各社に共通する規制はおおかた定まっています。それが以下となります。
広告主に信用性があること
公序良俗に反しない適切な広告表現であること
基本的人権に配慮された広告表現であること
知的財産権等に違反していないこと
誇大広告や断定表現など誤認を与える表現を使用していないこと
など
参考:東京都交通局 広告掲出審査ガイドライン
(https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/about/yoko_yoryo/pdf/b_yoko_yoryo08.pdf)
駅看板広告が掲出されるには、上記のような細かい規制をクリアする必要があります。
日本は駅看板広告がグローバル市場において拡大の傾向にあります。つまり、駅看板広告を掲出しようと考えている企業が増加傾向にあるということです。それだけ駅看板広告は他の広告と比べると反響が見込める媒体と言えるのです。
掲出するには厳しい審査をクリアする必要がありますが、掲出されれば非常に多くの人に自社の商品やサービスを知ってもらえるようになるでしょう。